2007年8月31日金曜日

白魔道士


 昔からお年寄りの話を聴くのが好きで仕方がない。

 今日も通いの洋食店で知り合った旧帝国海軍のお爺さんと三時間近くも話し込んでしまった。こっちが旧車だ名車だと騒いでいる自動車やバイクに実際に乗っていただとか、零戦の機関砲のリコイルが凄くて一瞬速度が落ちるような感覚があるだとか、我々の世代では絶対に経験することができない体験談を聞くことが出来る。

 基本的に経験に重きを置かないようにしている。
 大切なのは工夫する能力で、経験などチャンスがあれば誰でも一通り体験できるという程度の意味合いしかないと思っていたが、お爺さんの話にはそういう頭でっかちな主義主張を一蹴するクオリアがある。

 学生の頃は恥ずかしいくら思い上がっていて、お年寄りの話を聴く度に一個の人間が獲得することの出来る世界の小ささを思い知らされたものだった。
 お年寄りのジョブには説教をするでもなく、ただ体験談を話すだけで若者を導くことのできるアビリティがデフォルトで備わっている。

 ……エスナ?
 いや、デスペルか?


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